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健康コラム 「アスベスト関連の胸膜中皮腫の治療」~理想的な療法 臨床試験開始

広島大学病院呼吸器外科 岡田守人教授 アスベスト(石綿)を吸い込むことで起きる胸膜中皮腫は、肺を覆っている2重の胸膜から発生する悪性腫瘍(しゅよう)で、日本のアスベスト輸入量と平均40年とされている潜伏期間を考慮すると、今後、中皮腫の発生および死亡は増加することが予想されます。

 アスベスト(石綿)を吸い込むことで起きる胸膜中皮腫は、肺を覆っている2重の胸膜から発生する悪性腫瘍(しゅよう)で、日本のアスベスト輸入量と平均40年とされている潜伏期間を考慮すると、今後、中皮腫の発生および死亡は増加することが予想されます。

理想的な療法 臨床試験開始

広島大学病院呼吸器外科 岡田守人教授

〈取材協力〉
広島大学病院呼吸器外科
岡田守人教授
広島市南区霞1-2-3
TEL 082-257-5476

■発症状況
アスベストの暴露歴がある人は定期的な検診が必要です。広島県内ではアスベストをかつて大量に使った造船所が多く、発症数は全国7番目で多発県となっています。早期の確定診断が専門施設でさえ困難で、治療が遅れることがその予後・治療成功率が悪い原因になっています。
■治療法
治療には、外科療法(手術治療)、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)および対症療法があります。完全に切除することが可能な場合には外科療法、具体的には肺・胸膜を含めてすべての病変を、場合によっては横隔膜や心膜ごと切除する胸膜肺全摘術が行われます。これは胸部手術のなかで最も難度が高い手術とされています。
■広島大学病院での診断・治療
術前の化学療法と術後の放射線療法を組み合わせる集学的治療が理想とされ、最近国内でもその臨床試験が開始されました。その治療の危険性から全国で17施設に限定され、そのなかでも広島大学病院は指導的中核施設となっています。さらに私は環境省中央環境審議会・専門委員に選ばれ、最新最先端の胸膜中皮腫の診断治療を実践しています。